お気に入りの服を着て
お気に入りの帽子をかぶり
お気に入りの靴をはいて
最後の仕上げはこのあたし
太陽の光を反射させながらコチコチ動く小さな針
覗き込むと木漏れ日を背にあたしが映る
小さな宝物みたいにそっと手で覆ってみると
ヒンヤリしたガラスの感触が心地いい
いつものようにお気に入りの服を着て
いつものようにお気に入りの帽子をかぶり
いつものようにお気に入りの靴をはいて
そして小さな叫び声が聞こえた
「壊れちゃった」
それから長い長い時が流れた
時を数えなくなってから
花の匂いをかぐことも
鳥の歌を聞くことも
忘れてしまった
ある日のこと 引き出しの奥に見覚えのある小さな箱を見つけた
心臓がコトリと鳴った
その小さな宝物は
もうコチリとも動かない
すっかり錆びついたカバーを剥がされ
新しい入れ物に入れられ
ピカピカに磨かれ
そしていつかのような良く晴れた日・・・・・
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